<天 候>晴時々曇り
<コース>
(1日目)
笹ヶ峰登山口[約1320m]〜黒沢橋(40分)〜十二曲り(30分)〜富士見平(50分)〜黒沢池ヒュッテ(50分)〜大倉乗越(30分)〜妙高山北峰(180分)〜南峰頂上[2454m](5分)〜黒沢池ヒュッテ(105分)〜高谷池ヒュッテ(60分)
(2日目)火打山へ
高谷池ヒュッテ[約2110m]〜火打山山頂[2462m](90分)〜高谷池ヒュッテ(70分)〜富士見平(30分)〜十二曲り(40分)〜黒沢橋(20分)〜笹ヶ峰登山口(40分)
<歩行高低差>約1134m
<歩行時間>9時間10分(妙高山頂まで6時間15分)

妙高山は新潟県南西部に位置する複式火山で活火山に指定されています。越後富士や信濃富士とも呼ばれ、本峰を外輪山に囲まれ、どっしりと重量感のある山容です。
残雪多き妙高路
道迷いから学んだこと
今回は山小屋泊で妙高山、火打山を二山制覇を目指します。
笹ヶ峰登山口からのアプローチを選択。
今回は残雪多い中、道に迷ったこともあり、妙高山頂まで6時間以上も掛かってしまいましたが、妙高山だけであれば、もっと短時間で登ろうとするならば、燕温泉からのアプローチをお薦めします。
7月上旬、黒沢池ヒュッテの予約所に電話をすると、この時期はまだ仮営業で宿泊は不可とのこと。「まだ雪多いから気をつけてね。」と言われました。
そうなるとあとは高谷池ヒュッテに泊まるしかありません。高谷池ヒュッテは完全予約制となっています。
高谷池ヒュッテのホームページでは、妙高山への登山道、大倉乗越では残雪の斜面を横切るのでアイゼン、ストック又はピッケル持参を呼びかけています。
登山口の笹ヶ峰は、妙高高原ICから杉ノ原スキー場を経て、十数キロ車を走らせた標高1300mの地にあります。
道路の左右二つ大きな駐車場があり、右の駐車場の奥に登山口があります。

登山道に入ると、しばらくは樹林の中のよく整備された木道が続いています。

緩やかな木道の上り路が黒沢の橋まで続いています。


黒沢からは十ニ曲りの急斜面を登ります。

日影の森林の中に入ると登山道を雪が覆っているところもありますが、ここ以外は基本的には黒沢池や高谷池までは残雪はありません。


やがて林を抜けて、天気のいい日は富士山が望めるという富士見平の分岐となり、直進方向の黒沢池のほうへ進みます。下って行くと広々とした黒沢池のある湿原にでます。


この辺りはのどかな田園風景を思わせる美しい湿原の中を、木道がどこまでも続いています。ちょうど咲き始めたハクサンコザクラの紫ピンク色の花が風に揺らいでいます。来てよかった!と思わせる瞬間です。
遠くに黒沢池、木道脇に咲くミズバショウを愛でながら歩みます。


黒沢池とミズバショウ
雪の残る急な下り坂を恐る恐る降りると、ドーム型屋根の黒沢池ヒュッテにでます。

黒沢池ヒュッテ
ヒュッテ左手に伸びる路が高谷池方面、右手に上がる路が目指す妙高山方面です。雪解けのじめじめした路を上がっていくと、日の当たらない林床にはサンカヨウ・キヌガサソウやシラネアオイなどが見られます。
しばらく上がっていくと残雪のある小さな沢があり、雪の上の踏み跡は沢の上流絵方向に続いています。残雪の路は次第に狭くなり、ヤブの中へと入っていきます。これが登山道なのか?
やがてヤブで前に進めなくなってはじめてこれは登山道ではないことを悟ったのです。少し後戻りしながら、どこで路を失ったのか途方に暮れてしまいます。残雪には確かに踏み跡があり、両脇は笹薮になっていて、他に路が見当たりません。
仕方なく来た路を下り、先程沢に出たところまで戻ると、なんと沢の反対側に登山道が続いているではありませんか。下ばかり見て歩いていたので、残雪の踏み跡を追ってしまい、沢の反対側の路に気がつかなかったのです。
やれやれ、藪に入ったせいで服は泥だらけです。
沢の向こう側に続く路を上がり、ひと登りすると大倉乗越に出ます。
ここからは大きくどっしりとした妙高山の山容が望めます。下方には長助池のある湿地帯が箱庭のように小さく見えています。振り返ると火打山が顔を覗かせています。

大倉乗越からは妙高山が大きい。

火打山を望む
ここからトラバース気味に一気に下っていきます。ここまで登って来たのが惜しくなるほどです。

グングン下り、坂がなだらかになると山の斜面に並行して路は進みます。
雪の残る斜面を何度か横切るようにして路が続いています。
この辺りが高谷池ヒュッテのホームページに載っていた要注意箇所です。
一番大きな残雪ではアイゼンをつけ渡ります。雪渓を登り降りする時はアイゼンなしでも苦になりませんが、急な斜面を横切る時は慎重になります。滑って転ぶと斜面を転げ落ちかねません。

幾重にも残る雪の斜面
幾つかそんな斜面を横切り、少し下って行くと、雪渓に出ます。その雪渓をひとりの先行者が登っていくのが見えます。
あたりを見まわすと、雪渓の向こう側に路が続いているので、雪渓を渡り、反対側に続く路を行ってみると、また雪渓が現れます。
雪渓の端から下る路があり、先程大倉乗越から見えた長助池に続く路のようで、他に路はありません。地図では長助池に出る前に妙高山への路は分岐するはずです。
先程の雪渓を登っていく人を思い出し、さっきの雪渓が登山道なのだと思い、先程の雪渓まで戻ってみます。
先程雪渓を上がっていった人はもう見えなくなっていましたが、間違いないと思いその雪渓を上がっていきます。確かに踏み跡も多く残っています。
しばらく雪渓を上がっていくと、雪渓は3方向に分れていきます。ここではたと迷いますが、踏み跡のある右方向の雪渓を辿っていきます。
しかし、いくら進んでも登山道らしくないのです。気がつくと踏み跡もなくなり、疑心暗鬼に陥ります。
右上空には妙高山の双耳峰がはっきりと見えています。地図では山頂への登山道は北側からついているはずなのに、自分は西側に来ていることに気がついたのです。
先程の3方向に分かれるところまで戻り、今度は一番急な左方向に上がってみるものの、やはり登山道らしくなりません。
もう一度戻り、こうなれば最後の中央に伸びる雪渓で間違いなしだとばかりに上がっていくと、先程見掛けた雪渓を上がっていった人を前方に発見。
心強くなり追いかけると、前方の人はウロウロしながらこちらに戻って来るではありませんか。そして私に気がつくと手で大きくバッテンを作ったのです。これも違うのか。私は愕然とします。
路がわからず頂上に到達できないなんて、そんな不安にかられます。
その若者は、私が最初に選択した右方向に行って見るとのことでしたが、私は諦めて、雪渓の下まで降ります。
雪渓口では、ひとりの年輩の登山者がタバコを吸って休んでいます。この人ならわかるかも。そう思い、山頂への登山道を尋ねると、
「私も初めてなのでようわからない。」
と期待はずれの答えが返ってきます。
しかしその翁はもうひとつ先の雪渓上方を指差してこう言ったのです。
「おそこに赤いテープが見えるね。」
そう、先程言ってみたもう一つの雪渓が正解だったのです。
私はその翁の後について、先の雪渓を上がっていくことにします。
確かにこの雪渓には登山道を示す赤いテープが木々にたなびいています。
百名山66座目にして学んだのです。踏み跡を頼りにしてはいけない。登山者が進む路が必ずしも正解ではないということを。

左の雪渓が正解。
右に見える雪渓に迷い込む。
雪渓をしばらく上がると、樹林帯に入っていきます。樹林帯の入口にもちゃんと赤いテープが登山道であることを示しています。

ここから樹林帯の中の急登となります。
この登りは今日一のかなりキツイ登りです。路に迷い余計に体力を消耗したせいか、なかなか足が前に進みません。
それでも下山者に励まさせれながらなんとか喘ぎ登ります。
やがて坂の傾斜もゆるんでくると頂上まではもうひと踏ん張りです。

まもなく標高2446mの北峰に到達しますが、妙高山の最高点はこの先の南峰(標高2454m)となっています。南峰は5分ほどで行ける目と鼻の先です。
燕温泉から南峰に登ってきた人の話では、登山口から4時間ほどとのこと。
頂上で昼食をとり、往路を戻ります。
急坂をみるみるうちに下り、再び雪渓を横切り、大倉乗越で下った路をもう一度登り、黒沢行けヒュッテへと戻ります。
ここから茶臼山を越え約1時間で高谷池へと至ります。

茶臼山中腹から黒沢池ヒュッテ、
大倉乗越方向を望む
高谷池周辺も残雪が多く残っています。


火打山への分岐と高谷池
時間があれば火打山まで登ろうと思っていましたが、思わぬ路迷いで時間と体力を消耗し、火打山は明日に持越すこととします。
本日の宿泊場所である高谷池のほとりにある高谷池ヒュッテに到着です。
2日目火打山山行へ
妙高・火打山の高山植物
燕温泉
なんちゃって百名山TOPへ
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すごく内容の濃いブログですね♪
また、お邪魔させて頂きます。