2009年05月09日

武尊山

<登山日>2009/5/1(金)
<天 候>晴れ
<コース>武尊牧場(スキー場下)[約1100m]〜キャンプ場(スキー場上)(70分)〜武尊避難小屋(90分)〜武尊山(沖穂高)山頂[2158m](180分)〜武尊避難小屋(90分)〜キャンプ場(140分)〜武尊牧場(60分)
<歩行高低差>約1060m
<歩行時間>10時間30分(山頂まで5時間40分)

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武尊山は沼田市の北方に位置する独立火山で、主峰の沖武尊をはじめ、中ノ岳、家ノ串、前武尊、獅子ヶ鼻山などいくつかの峰を馬蹄状に連ねた山です。

北アルプスの穂高岳と区別するため、上州武尊山とも呼ばれています。

ブナの原生林とクマの生息数の多い事でも知られています。


道迷いの恐怖 
東に進路をとれ。

2009年のGWは、この武尊山と越後駒ケ岳、そして常念岳を目指します。

初日は群馬県の武尊山。この山は2年前の秋に登山口付近まで行ったものの雪のため引き返したことがあり、今回はそのリベンジでしたが、またもや手痛い仕打ちを受けることになるとは・・・。

武尊山の登山道は複数ありますが、今回選んだのは武尊牧場スキー場からのコースです。

武尊牧場は冬はスキー、夏はリフトも稼動し、スキー場上部にあるキャンプ場や花咲湿原への遊歩道等もあり、年間を通して楽しめるところのようです。

しかしながら、この時期はスキーシーズンも終わり、6月からの夏リフト営業のちょうど狭間にあり、GWだというのにひとけはありません。

スキー場の駐車場には他に1台の車が停まっているだけで、今回のコースで出会ったのはこの車の方一人だけです。

スキー場にはもう雪はありませんが、スキー場上部の登山道から山頂までは積雪ルートとなります。

このコースには基本的に赤、青、緑のテープや赤ペンキの矢印などが目印として付けられており、トレースもありますがこの時期には所々分かり難いところがあります。

はじめに途方に暮れたのは、中ノ岳の手前の岩壁です。
恐らくここが夏道では鎖場なのでしょうが、鎖も見当たらず、ルートの見当がつきません。

仕方なく、岩場を右から巻くようにして急斜面を木に捉まりながら攀じ登っていきます。

すると上から一人の年輩の男性登山者が降りてきて、
「分かり難いねこの辺は。でもオレがしっかりトレース付けといたから、これ辿っていけばいいよ。」
とハリのある声で声を掛けてくれたのです。

スキー場の駐車場にもう一台停まっていた方だったのです。
同じルートを歩いている人がいて勇気付けられた瞬間です。

この男性は、別れ際に
「急斜面をトラバースして進むから気を付けてな。」
と言って、急斜面をグリセードするように滑り降りたものの、木が邪魔して倒れ込んでしまいましたが、立ち上がり、
「気を付けるんだよ。」
と言い残して去っていきました。

この方のお陰で、不安なく踏痕を辿り、沖武尊山頂に立つことが出来たのです。

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前方の岩壁に行く手を阻まれてしまいます。
年輩の登山者に指南を受けたのでした。



さて、下山は避難小屋までは順調に、登りの半分の時間で降りてきます。
あと1時間も歩けばスキー場に付くなと思い、調子良く下っていると、気が付くと踏痕がいつのまにか消えています。
「下に降りていけばいいんだろ。」くらいに思い20分位下へ下へと下っていくと、どうも登ったときの様子と違います。それでも少し方向を変えながら下り、目印のリボンを探しましたが見当たりません。

この日は良く晴れており視界は良好。でも積雪の林は前も右も左も同じ風景にしか見えません。立ち止まると静かな林が急に不気味に思えてきます。方向感覚を失い、道に迷ったことを悟ったのです。

地図とコンパスは持参していたのですが、目標となるものもなく現在地が特定できません。

このまま下ればスキー場に辿り付きそうな気もするし、でもこれ以上下ると大変なことになってしまうかもしれないと、頭の中は葛藤に揺れまています。

2002年のちょうど同じ残雪時期、今回と同じルートでひとりの女性が道迷いで遭難しています。その女性は中ノ岳からセビオス岳に下山する途中で道に迷い、道に迷っていることを自覚しながらも尚も下り、結局5日間山中をさ迷い歩いた末に救出されたのです。

「ドキュメント道迷い遭難」(羽根田治著)で読んだ遭難事故を思い出します。羽根田氏はその本のあとがきで「おかしいなと思った時点ですぐに引き返せ」と、しかしながらそれが出来ないのは、「道迷い遭難が人の本能と願望の葛藤に起因するものだ」と言っています。

まさに今、その葛藤が襲ってきていることを自覚したのです。
葛藤している場合ではない、引き返そう。

朝から既に7時間以上歩き、あと1時間程度でスキー場に付くと思っていた矢先に、もう一度登り返すというのは覚悟のいることです。

幸いにもまだ時刻は午後2時をまわった頃。1時間も登れば手掛かりは掴めるだろうと、意を決して高みへと登りはじめたのです。

結局、30〜40分登り続けると踏痕を見付け、その先に先程の避難小屋を発見することができたのです。避難小屋が幻覚でないことを確認するために、小屋のところまで戻り、もう一度やり直しです。

踏痕と赤いリボンを正確に辿っていくと、途中で踏痕が消えてしまっています。暫く辺りをウロウロしたものの踏痕やリボンが見当たりません。またもや途方に暮れてしまいます。

そこでコンパス登場(遅ツ!)

スキー場への道はほぼ東に伸びています。
コンパスを東方向に合わせ、進んでみます。するとリボン発見!
さらに東に進むとあら不思議、またリボン発見。

踏痕も見付かり、往路での見覚えある景色に安堵。
こうして無事スキー場に辿り着いたのです。

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積雪期、360度こんな光景のトレースのない
林の中に紛れ込んだら、
あなただったらどうしますか?



武尊牧場ルート

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(左)武尊牧場スキー場の駐車場
(右)スキー場のレストハウス

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この時期は夏山リフトが営業していないので、スキー場に向って右側にある作業道兼登山道を上がっていきます。
スキー場を横切るように進むと、前方に目指す武尊山の峰々が見えてきます。

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1時間程度でスキー場上部に着き、道標を頼りに左折し、美しい白樺林の登山道を進みます。

静かなブナの原生林を緩やかに登って行きます。

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1時間半程歩き、花咲湿原への分岐を過ぎると、雪に埋もれた三角屋根の小さな武尊避難小屋に到着。

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避難小屋の先の方が踏痕も濃く、中ノ岳への急登(鎖場)までは分かりやすい。但し左側は雪庇が張り出しているので注意。

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(左)前方に中ノ岳への急な岩崖が見えてきます。
(右)崖を右から巻くようにして、急斜面を上がって行くと、沖武尊への稜線が見えてきます。

中ノ岳を右からトラバースして進み、後は稜線を目指して進みます。(これが正しいルートかどうかは不明。何せ先を行ったその日唯一の登山者が作ったトレースですから。)

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沖武尊山頂

沖武尊の山頂からは360度の大パノラマ。
これまで登った百名山が手にとるようにぐるりと連なっています。
赤城山、皇海山、日光白根山、燧岳、至仏山、谷川岳など。

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至仏山、平ケ岳方面

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獅子ケ岳、剣ケ峰山方面の稜線

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谷川岳方面


下山は往路を戻ります。


この時期のこの武尊牧場からのコースはあまりお薦めできません。静かな山歩きを堪能できますが、くれぐれもクマと道迷いにはご注意を。


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posted by Cruiser at 06:44| 長野 ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本百名山 登山履歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然のコメント失礼致します。
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今後ともよろしくお願い致します。
3aj3vclS
Posted by sirube at 2009年05月09日 08:50
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