<天 候>くもり時々晴れ
<コース>
(1日目)
塩川林道ゲート[約1150m]〜塩川登山口(30分)〜尾根取付点(50分)〜水場(70分)〜鳥倉ルート合流点(120分)〜三伏峠小屋[2580m](20分)
(2日目)
三伏峠小屋〜本谷山(40分)〜塩見新道合流点(60分)塩見小屋(20分)〜塩見岳[約3047m](50分)塩見小屋(40分)〜本谷山(60分)〜三伏峠小屋(50分)水場(50分)〜塩川登山口(50分)〜塩川林道ゲート(20分)
<標高>3047m
<歩行高低差>約1897m
<歩行時間>2日間合計 12時間20分(山頂まで7時間50分)
塩見岳は、長野県と静岡県の境界にあり、南アルプスのほぼ中央に位置しています。山頂は100m足らずの距離を隔てて西峰と東峰に分かれ、三角点のある西峰より東峰がわずかに標高は高いのですが、低い方の西峰の標高が塩見岳の標高とされています。
夏山本番始動
南アルプス中央に分け入る。
今回は、塩見岳への最も一般的なルートである、鳥倉ルートで三伏峠を経由し、本谷山を越え、塩見小屋を経て塩見岳山頂を往復する計画。鳥倉ルートであれば多少ハードではありますが、1日目で塩見岳山頂まで行けると思ったからです。山伏峠小屋にテントを張り、その日の内に山頂を往復し、翌日下山するというものです。
一般的な行程は、塩見小屋で一泊し、翌日山頂を目指すというもので、これが一番1日目と2日目のバランスがとれています。
ところが、塩見小屋は予約が基本であり、テント場なし、小さな小屋なので最盛期は大変混雑するとのことでしたので、塩見小屋を諦め、テント場のある三伏峠小屋に一泊することにしたのです。このルートでは三伏峠小屋の他はテント場はありません。
今回の山行はトラブルや誤算続きで、下調べの足りなさを露呈する結果に。計画の変更を余儀なくされます。
誤算1 松川インター大鹿線土砂崩れにより通行不可。
誤算2 鳥倉林道通行止。鳥倉登山口には行けず。
誤算3 塩川ルート 登山口手前2キロ地点で車両通行止。
誤算4 三伏峠小屋にて幕営できず。
最初のトラブルは松川ICを降り、大鹿村に向う道路で発生。土曜日の深夜午前1時頃に大渋ダム沿いを通る道で、突然ヘッドライトの先に土砂崩落現場が映し出されます。目の前に突然土砂が現れビックリ!
通常土砂崩れがあれば、その前で通行止めの表示があってもよさそうなものですが。どうやら土砂崩れが発生したばかりの様子です。
後で知りましたが、この土砂崩れは7月4日に発生となっておりましたので、土砂崩れが発生してから1時間も経っていない現場に居合わせたことになります。
再び崩落するのではないかと怖くなり、おそるおそる、そっとその現場を走り去ります。
仕方なく大鹿村への別ルートを探し、なんとか土砂崩れ現場を迂回し、大鹿村へ入ることができましたが、この迂回ルートも道は狭く、いたるところに「落石注意」の標識があります。
翌日帰るときには、この土砂崩れ現場の手前の大鹿村側では、通行止めのお知らせと、役場の方が迂回ルートの案内をしていました。
それによると、迂回路は大鹿村から松川町へ行く場合は中川村大草経由で通行(小渋ダム附近の西下トンネルの先を右に折れ、山道を迂回し、下平交差点を左折し、渡場交差点を右折するというもの)、逆に大鹿村へ向う場合は県道松川大鹿線(岩洞)を通行するというものです。
詳細は、大鹿村役場のホームページに掲載されています。
大鹿村に入ってから鳥倉林道に向うと、今度は「鳥倉林道通行止め」の看板が。通行止めと書いてあるものの道は通れるので、そのまましばらく進んでみますが、結局最後は工事現場のハードルみたいなやつが2つ置かれて通行を阻まれます。
「これより先は通行できません。事故が起きた場合には一切の責任を負いません。」(by大鹿村)「鳥倉登山口には行けません。」となんともつれないコメントが。林道が崩落する恐れがあるとのこと。
先程土砂崩落現場を目の当たりにしているだけに、ここは撤退することに。
いよいよ塩見岳への登山口への道を閉ざされ、諦めムードが高まる中、もうひとつの登山口、塩川ルートを思い立ち、そちらに廻ることにします。
しかしながら時刻はもう午前2時を回っています。当初の予定では夜明け4時には登山を開始しなければその日の内に塩見岳山頂を往復することは無理です。
そこでその日は山伏峠小屋で一泊し、翌日山頂を往復し下山するという行程に変更することに。まあ、この行程のほうが余裕があり一般的ではあります。
とりあえず、車で仮眠し、朝ゆっくり起きて塩川登山口に向うことにします。
翌朝、鹿塩温泉を経由して塩川登山口への林道を進むとまたもや登山口2キロ手前で通行止め。今度はしっかりと鎖で閉ざされています。
「村道 沢井線 塩川小屋2km手前当分の間車両通行止。
※塩川小屋・塩川登山口には徒歩で通行可。」
登山口に辿りつくまでが一苦労の塩見岳なのでした。
2キロの林道歩きを余儀なくされ、5時間掛けて三伏峠小屋へ。
山伏峠小屋は立派な小屋で、広いテント場があります。早速テント場を申し込むと、受付してくれたものの、
「ちょっとテント張るの待ってて。これからヘリが来るからそれからにして。」
と妙なことを言われます。
三伏峠のお花畑を見に行ったりして、時間を潰していましたが、一行にヘリが来る様子がありません。いつごろヘリが来るのか聞いてみると、
「この霧じゃ。いつになるかわからないから、今日はテント張らずにあの小屋に寝てよ。」
と言うのです。
確かにこの濃霧ではヘリなど飛べるはずもありません。
仕方なく折角担ぎ上げたテントを諦め、別棟にあたる少々本館よりしょぼい小屋に泊まることに。ところがこれが意外に正解で、小屋は貸しきり状態で一人占めだし、布団もありテントより全然快適なのです。誤算は誤算でもこれは嬉しい誤算です。
しかも缶ビールを2本サービスしてもらい、なんだか得した気分に。
小屋にはテーブルがあり、食事も快適。
その後は、しばしお昼ねタイム。
1時間位うとうとしていると、夕方5時位にヘリの爆音で目を覚まされます。やっとヘリが到着したようです。
いつのまには霧は晴れ、にわかに小屋が活気づきます。無線の声や荷を運ぶモーターの音が鳴り響きます。
ヘリは何往復もし、荷を下ろしたり、運び上げたりしています。
爆音を轟かせてホバリングするヘリをこんなに真近に見るのは初めてでちょっと興奮です。
塩川ルート・塩見岳往復
(1日目)
林道ゲートの手前右側に車数台が駐車できるスペースがあります。
最盛期に向け、その周辺に駐車スペースを拡大増設している模様。


塩川登山口の手前2`地点のゲート
林道を30分ほど歩いて、夢にまで見た登山口にやっと到着。


塩川登山口
はじめ登山道はしばらく塩川に沿って進みます。
登山道に入るとすぐに鉄の赤い橋を川の左岸から右岸に渡ります。

川沿いのゆるい道が続きます。
昨日までの雨のせいか、川には水量と勢いがあります。
丸太橋を渡り、左岸に。

再び丸太の橋を右岸に渡ると、次第に川から遠ざかり、崩壊地を横切り、
支流の沢を渡って、いよいよ尾根に取り付きます。




崩壊地
急な尾根道を1時間以上登ると、水場の表示が。
登山道から1分ほど下ったところに岩を伝わって流れる水場があるので、水を補給していきます。(三伏峠小屋では、テント泊の場合、水は基本的に有料。水場まで離れています。)


水場まではここから1分下ったところに。
水場から更に2時間ほど尾根道を登り続けます。


長い長い尾根路
傾斜が緩み、臨床の緑が目立つようになると鳥倉ルートの合流点に達します。


左に折れ、シラビソ林の中をジグザグに登っていくと、三伏峠小屋に出ます。




三伏峠小屋
標高2580m 峠の日本最高所にある小屋です。




小屋から10分ほど進んだ、鳥帽子岳に向う路の途中の斜面にお花畑が広がっています。お花畑はネットで保護されており、この時期斜面は、ミヤマタンポポ、キバナノコマノツメ、ミヤマキンバイ、シナノキンバイと黄色一色に染まっています。
塩見岳山行で見られた高山植物はこちらで紹介しています。
(2日目)
早朝まだ暗い内に小屋を出発。
小屋を出ると間もなく二手に分かれ、右がお花畑、左方向が山伏山への路です。左方向に進むと、三伏山の山頂まではすぐです。



三伏山山頂
展望が開け、塩見岳を望めます。

山頂はなだらかな路が続き、少し下って本谷山への登りに掛かります。
現在は閉鎖された三伏小屋への路を右に分けると、お花畑の斜面を急登していきます。

本谷山への登山道斜面に広がるお花畑
やがてハイマツに囲まれた本谷山のピークに出ます。


本谷山
展望はあまりよくない。

立枯れの林を抜け、しばらく行くと、林床の幼木の緑が鮮やかな山腹の路を通り、沢を横切ると、シラビソ樹林の中の急坂へと変化します。

右手前方に目指す塩見岳が見えます。


立ちガレの林を抜けて行く。

山腹の林の路は、幼木が美しい。

急坂を登りきると、塩見新道と合流し、尾根路を進むと塩見小屋に到着します。

塩見新道合流点


(左)辿ってきた三伏山、本谷山方面を望む。
(右)振り返るとコンモリした権右衛門山が目に付く。

塩見小屋
ハイマツ帯を通り抜けるとザレた路となり、やがて岩稜帯を登るようになり、天狗岩のピ−クを過ぎると鞍部へと一端下ります。


ここから最後の岩場の急坂となります。
何ヵ所か注意を要する箇所はありますが、この時期岩場に咲くハクサンイチゲなどの高山植物を愛でながら、3000m急の岩峰にテンションの上がるところです。

やがて塩見岳の西峰に到達します。
山頂は西峰と東峰に別れており、三角点のある西峰より僅かに標高の高い東峰までは目と鼻の先です。
山頂を後にし、往路をそのまま戻ります。
南アルプスの中央、塩見岳は登り甲斐のある山です。登山口までは苦労しましたが、しっかりと整備され、気持ちのいい登山道が印象的な山域です。久しぶりの3000m級の山並みにぐっときた塩見岳なのでした。
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