<天 候>晴
<コース>
利尻北麓野営場[約210m]〜4合目(30分)〜5合目(30分)〜6合目(20分)〜7合目(30分)〜8合目(40分)〜9合目(40分)〜利尻岳山頂北峰
[1719m](60分)〜9合目(40分)〜8合目(30分)〜7合目(20分)〜6合目(20分)〜5合目(10分)〜4合目(20分)〜登山口(30分)
<標高>1719m
<歩行高低差>約1509m
<歩行時間>7時間(山頂まで4時間10分)

利尻岳は、北海道北部、日本海に浮かぶ利尻島にある単独峰です。別名「利尻富士」とも呼ばれています。
コニーデ型の死火山で、火山活動を休止してからの期間が長いため、山頂部を中心に侵食が著しく進み、火口などの火山地形は失われています。
頂上は北峰(標高1,719m)と南峰(標高1,721m)から成り、最高峰の南峰への道は崩壊が進み危険なため、一般登山者は北峰までしか行けません。
利尻礼文サロベツ国立公園の島
絶滅危惧種の花を求めて最北の百名山へ
利尻島は、面積は約182km2で、礼文島と相対するほぼ円形の島です。
周囲68kmで、2時間もあれば車で島を一周できてしまいます。
地名の語源は、アイヌ語の「リイ・シリ(高い島)」に由来し、島全体がひとつの山のよう見えます。
利尻岳の裾野にある空港を降立つと、そこはもう高原のような気候と風景が展開しています。
島の大部分は、利尻礼文サロベツ国立公園に指定されています。
利尻礼文サロベツ国立公園は、日本最北の国立公園です。


オタトマリ沼
島の南側に位置するオタトマリ沼は、
日本最北限のアカエゾマツの原生林に囲まれた
周囲約1kmの沼です。
レストハウスやお土産屋さんもあります。


南浜湿原
オタトマリ沼から南へ2kmの場所にある利尻最大の湿原。
南浜湿原は、湿性植物の宝庫で、
静かな湿原の中は木道が整備され、
散策することができます。



(左)姫沼
原生林に囲まれた静かに水をたたえる姫沼。
周囲1kmほどで、周囲には散策路が整備されています。
(右)姫沼湧水
姫沼の遊歩道沿いに湧いているが、湧水量は少ない。

鴛泊港にあるペシ岬
島の環境は、海岸、草原、湖沼、森林、高山といった多種多様で、高山植物ではリシリヒナゲシなどのこの島の固有種が多く見られます。
リシリヒナゲシの花はこの島のシンボルのような存在で、空港にも園芸用の花が花壇に咲き、観光客を迎えてくれます。
自然のリシリヒナゲシは、利尻岳の山頂附近にのみ自生していますが、山体の崩壊等から生育地の環境が大きく変化し、その個体数も減少していると言われています。
環境省のレッドリストにも掲載され、絶滅危惧種とされており、最近になってようやくその調査が開始されたばかりのようです。
リシリヒナゲシは8合目過ぎから、登山道の右斜面の砂礫地に自生していますが、その数も少なく、ロープの張られた急な斜面のため、なかなか真近に見ることが難しくなっています。
9合目の登山道の右斜面、ロープの向こう側に垣間見ることができます。
その他にも利尻岳には固有種も多く、高山植物の宝庫なのです。
鴛泊コース
利尻岳への登山口は利尻町沓形、利尻富士町鴛泊の二ヶ所にあります。
今回は、、利尻北麓野営場を起点とする鴛泊コースを辿ります。往復約7-8時間のコースです。


利尻北麓野営場
鴛泊港から車で15分程度のところにあります。
綺麗な遊歩道が、日本名水百選にも選ばれいる甘露泉まで続いています。



甘露泉
甘露泉から本格的な登山道が始まります。
すぐに二手に分かれ、右手に進み、ポン山、姫沼方面への分岐を右に分け、進みます。

ポン山・姫沼への分岐
なだらかな登山道が続き、やがて樹林の中の4合目となります。

4合目
次第に登山道の坂も急になり、長官山への登りとなります。
5合目では、振り返ると鴛泊港から広がる海を眼下に見ることができます。


5合目

振り返ると海の向こうに礼文島が浮かんでいます。
百名山でこんな風景に出会えるのはここ位のものです。
植生の変化を短時間に感じることができます。エゾマツ・トドマツ林から、ダケカンバの林、笹原を経て、一気にハイマツへと変化していきます。植生垂直分布のミニチュア版です。


6合目
6号目からは、ハイマツの林を抜け、長官山を目指し登ります。
7号目を過ぎ、登山道に岩が目立つようになると、見晴台に出ます。

7合目


一休みしたくなる眺めのいい岩場です。
ひと登りすると8合目に当たる長官山の辿りつきます。
ここで初めて、緑に覆われた端正な利尻岳の姿を望むことができます。


8合目
尾根を通り、ピークを過ぎると、避難小屋へと一端下ります。


利尻岳山小屋
避難小屋を過ぎると、利尻岳本山への本格的な登りとなります。
この辺りから、たくさんの高山植物をたたえた登山道が続いていきます。
やがて広いガレ場の9合目となります。

9合目
ここから更に急登となり、歩き難い火山礫地の路を進み、沓形コースを合わせると、ロープに捉まりながらの登りとなります。


(左)ボタンキンバイが群生する斜面
(右)沓型コースへの分岐手前 右側が崩落しています。


沓型コースへの分岐
登山道の侵食が進み、路が崩れそうな場所を通過します。
近年の登山客の急増に登山道が耐えきれず、場所によっては登山道が4-5mもえぐられています。


砂礫がグズグズに崩れそうな急斜面
ロープが補助します。

深くえぐられた登山道
左斜面にはボタンキンバイが群生し、山肌を黄色に染めています。
山頂附近では、リシリヒナゲシ、リシリリンドウ、リシリオウギやリシリゲンゲなどを固有種オンパレードの歓迎を受けます。
山頂(北峰)には、祠があり、狭い頂上からは尾根伝いに南峰への路が続きますが、ロープが張られ通行禁止となっています。山頂からは鋭いローソク岩がそそり立って意いるのが見えます。
山頂からは往路を戻ります。
久しぶりに天候にも恵まれ、リシリヒナゲシ、リシリオウギ、リシリゲンゲ、リシリリンドウなど利尻固有の花にも出会うことができ、大満足の利尻岳なのでした。
一泊二日の強行軍でしたが、充実の山旅(島旅?)でした。
百名山登覇まであと 9座
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