2009年08月28日

槍ヶ岳

<登山日>2009/8/2(日)-3(月)
<天 候>雨/晴
<コース>
(1日目)笠ヶ岳
新穂高温泉[約1100m]〜笠新道入口(60分)杓子平(240分)〜稜線分岐(90分)〜笠ヶ岳山荘(90分)〜笠ヶ岳山頂[2897m](20分)笠ヶ岳山荘(10分)
(2日目)
笠ヶ岳山荘〜笠新道分岐(40分)〜弓折岳(150分)〜双六小屋[約2300m](70分)〜千丈沢乗越(180分)〜槍ヶ岳山荘[約3080m](80分)
(3日目)
槍ヶ岳山頂[3180m](山荘往復60分)槍ヶ岳山荘〜千丈沢乗越(30分)〜槍平小屋(90分)〜奥穂高岳登山口(100分)〜新穂高温泉[約1100m](80分)

<標高>3180m
<歩行高低差>約2080m
<歩行時間>
(2日目)8時間40分
(3日目)6時間

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長野県と岐阜県境にそびえる日本アルプスの主峰の一つ槍ヶ岳。「日本アルプスの十字路」として穂高岳と共に北アルプスを代表する山です。
槍の穂先のようにとがった山頂は、「日本のマッターホルン」とも呼ばれ、遠方から見ても容易に識別でき、日本中の山の〇〇槍の本家として君臨しています。

日本で5番目の標高を誇る槍ヶ岳は、四方に尾根と沢を配しており、尾根は東西南北に、東鎌尾根、西鎌尾根、槍穂高、北鎌尾根、沢は東南に槍沢、南西に飛騨沢、北西に千丈沢、北東に天丈沢が伸びています。

北鎌尾根は、新田次郎の「孤高の人」によって著名となり、バリエーションルートにもかかわらず、多数の登山客が訪れる人気のルートとなっています。


外国語が飛び交う槍ヶ岳山頂
人気の山は軌跡を呼ぶ

槍ヶ岳への登山ルートで代表的的なのは、中房温泉を登山口とし大天井岳を経て東鎌尾根に至る表銀座縦走コース、高瀬ダムを登山口とし鷲羽岳・双六岳を経て西鎌尾根に至る裏銀座縦走コースです。

要するに槍ヶ岳は、山岳界の銀座であり、そこを起点に銀座表通りと裏通りがあるというわけです。

その他、上高地から横尾を経て槍沢を遡るコースや、槍への最短ルートと言われる、新穂高温泉から飛騨沢を遡るコースなどがあります。

今回は、笠ヶ岳とのセット登山のため、双六小屋を経由して、裏銀座縦走コースに合流、西鎌尾根を登り槍ヶ岳山頂へ。下山は槍平を経て飛騨沢を下り新穂高温泉に降立つコースです。

笠ヶ岳のキャンプ地を出発し、昨日に続き降り続く雨の中、双六小屋に着いたのは、午前11時近く、小屋でカレーを食べ30分程休憩し、槍ヶ岳に向け出発。

地図では槍ヶ岳山荘まで6時間近く掛かることになっているので、夕方までに到着できるのか不安が過ります。しかも雨が降り、視界もほとんどありません。寒さで低体温症にでもかかりはしないか、雷雨にはなりはしないか・・・。不安は募るばかりです。

西鎌尾根は、長大な尾根が延々続きます。
雨で視界がないときは、目的地が見えない不安な面もありますが、一方で目的地が気の遠くなるほど遠くに見えない分、淡々と足元だけ見て登ればいい面、気は楽なものです。

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西鎌尾根で見つけた奇蹟の逸品。
オオサクラソウの紅白揃い踏み。
槍ヶ岳の高山植物へ


約3時間で千丈沢乗越を過ぎ、そこから更にズッシリと身に応える急登に、牛歩戦術を余儀なく強いられます。

結局、思ったより早く午後3時半位には槍ヶ岳山荘に到着することができ一安心。

西鎌尾根はあまり人気はありませんが、反対側の東鎌尾根や槍沢のルートからは、この雨にもかかわらず、大勢の登山者や団体さんが登ってきています。

登山者が多いのも、西鎌尾根からは槍の穂先を望むことはできませんが、東鎌尾根や槍沢からのルートでは、槍の穂先を眺めながら登ることができるからのようです。

さすがに日本を代表する人気の山です。槍ヶ岳山荘は、外人登山者の多いところです。特に韓国人や中国人が多いようです。これほど外国の方が多いのは、日本では富士山の他はここ槍ヶ岳しかないでしょう。

槍ヶ岳山荘のテント場は、岩場の隙間に張り付くように作られた、高山ならではの雰囲気です。

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(左)槍岳山荘のテント場
(右)テント場から見た大喰岳方面
  

テントの中でウトウトしていると、テントを叩く雨音が煩いほどに響くようになり、風音もはげしくなります。

明日も雨か。そう思いながら眠りにつきます。

雷の音も次第に近づいてきているようです。

どのくらい時間がたったのでしょうか。

近くで、ドーンと落雷が鳴り響き、その雷の音を合図に、風雨も弱まっていきます。梅雨前線の尻尾の先に仕掛けられた花火のように、何日も降り続いた雨の終わりを告げます。

やがて、山荘のほうで歓声が上がります。
指笛を鳴らして大騒ぎです。

何があったのかと、テントの隙間から外を覗いて見ると、それまで濃霧でほとんどなかった視界がウソのように晴れわたり、目前に槍の穂先が姿を現しています。

視界は遠方にも及び、人々は呪縛から解かれたように、その光景に歓喜していたのです。

あれほどの悪天候が、こうも急激に変化するものかと目を疑うほどです。

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落雷を合図に夕暮れに浮び上がった奇蹟の槍の穂先

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翌日は、まだ暗い早朝4時から、ご来光目当ての人々が槍の穂先に向け長蛇の列をつくります。数珠繋ぎのその列からは、日本語をはじめ、英語、中国語、韓国語が飛び交います。

頂上までは、通常15分位で登れるところ、この日は1時間位かかって、1歩進んで1分立ち止まるといった状態です。

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登山者で数珠繋ぎの山頂までの登り。


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山頂部は20畳ほどの広さしかないところに、ご来光を待つ大勢の人が溢れています。しばし雲上の映像に見惚れてしまいます。

頂上からは正に360度の大展望。穂高連峰をはじめ、常念、昨日登った笠ヶ岳、三俣蓮華岳方面の山々、そして遠く富士も望むことができます。

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下りは途中から分かれ、下り専用の路が付けられていて、上りの混雑を避け、山荘まで戻ります。

山荘に戻る頃には、日も昇り、槍ヶ岳ならではのご来光劇の終焉を迎えます。

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裏銀座・西鎌尾根ルート
槍平・飛騨沢ルート

(2日目)
笠ヶ岳のキャンプ指定地から笠新道の分岐まで戻ります。

そのまま稜線を進み、抜戸岳を右から巻いていきます。

やがて前方に巨大な秩父岩が見え、ガレ場をジグザグに下ります。

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弓折岳への分岐を右にさらに下っていくと、カール状の窪地である秩父平にでます。

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秩父平 雨のため視界が利きません。

秩父平から先では、コバイケイソウのお花畑が広がる斜面を通り、アップダウンを繰り返し、一際急な坂を上りきると、弓折岳の山頂に出ます。



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弓折岳山頂周辺

一旦下り、鏡平からのルートを合わせ、双六小屋方面に進路を取り、尚もアップダウンを繰り返し進むと、木道が敷かれた緩やかな草原地帯に出ます。

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更に進むと、クロユリの咲く「くろゆりベンチ」があります。

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ゆったりとした斜面を進むようになると双六小屋も真近です。

双六岳の裾野に広がる平原に続く木道と双六池の先に双六小屋が姿を現します。

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キャンプ指定地を通り抜け、双六小屋に到着です。

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双六小屋のキャンプ指定地と双六池

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双六小屋で水を補給し、右方向の樅沢岳へのザレた急坂を上がります。

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樅沢岳山頂 
頂上というより登山道の通過点でしかない。

樅沢岳山頂を過ぎると、少し下り、再び西鎌尾根の本格的な尾根路が始まります。

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双六小屋から約3時間登り続けて、槍平からのルートと合流する千丈沢乗越に出ます。

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千丈沢乗越

ここからは更に傾斜が増し、遥か天上の岩峰を目指してザレた路を上がっていきます。千丈沢乗越から槍ヶ岳山荘までは1時間半程度ですが、最も長く感じるところです。

ジグザグの急登を上がりきると、待ちに待った槍ヶ岳山荘に到着です。

(3日目)
早朝槍ヶ岳山頂を往復します。

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槍ヶ岳山頂から見降ろす槍岳山荘

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山頂から見る穂高連峰

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槍岳山荘

テントを畳み、槍岳山荘をあとにし、千丈沢乗越まで戻り、そこから槍平小屋へと下ります。

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三俣蓮華岳方面
昨日歩いた弓折岳から西鎌尾根の稜線が望めます。

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西鎌尾根

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昨日は霧で視界が無かったルートもくっきりと見えます。

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千丈沢乗越附近

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千丈沢乗越からの下り
コバイケイソウやシナノキンバイが群生しています。

槍ヶ岳からの別ルートと合流し、飛騨沢と並行して、下っていきます。

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やがて樹林帯に入り、沢を何度か渡りながらくだり、飛騨沢が近付いてくると槍平小屋に着きます。

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槍平小屋と沢沿いのテント場

小屋からは、飛騨沢の支流を何度か渡り、岩の路を下ります。

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滝谷の広い河原を渡り、右俣谷に沿って敷き詰められた岩の路を下っていきます。

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やがて、大きな白い岩が折り重なる河原を渡ると、林道に出ます。奥穂高岳への登山口を左に見ながら進み、途中穂高平を通り、長い林道歩きの末に新穂高温泉へと降立ちます。

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槍平・飛騨沢ルートの登山口
ここから林道


槍ヶ岳への最短ルートと言われるこの槍平・飛騨沢ルートは、とても歩きやすく、登りやすそうな路でした。
たいへんな雨の中、無事3日間の山行を終えました。


1日目 笠ヶ岳へ


百名山登覇まであと 5座


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奥穂高岳登頂時、屏風の耳周辺より(2009.9.21撮影)


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posted by Cruiser at 20:12| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本百名山 登山履歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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