2012年09月28日

微温湯温泉


P8050213.JPG

吾妻連邦の東端にある吾妻小富士の東麓標高900mの地にある一軒宿の温泉。
明治時代からの茅葺2階建の湯治場です。

<温泉紹介>
■温泉名
微温湯温泉(ぬるゆおんせん)
■泉質
酸性-含鉄(U・V)−アルミニウム-硫酸塩温泉
■温泉適応症
眼病・皮膚病・貧血など
■温泉の色
無色透明
■源泉温度
31.8度
■特徴
吾妻連邦の麓にある一軒宿の温泉。

<施設紹介>
■施設名
旅館二階堂
■所在地
福島県福島市桜本字温湯11
■浴場
男女別内湯
■特徴
昔ながらの茅葺屋根の日本秘湯を守る会会員宿。


吾妻連邦を縦走した日は夕方遅かったので、この温泉だけを目的にもう一日滞在し、翌日の朝に訪れました。

東北自動車道福島西ICから山の一本道を登り詰めたところにある一軒宿の旅館で、眼病に効くと言われる30℃位の温い温泉です。

なぜわざわざ訪れたかと言うと、ちょうど新田次郎の随筆集「山の歳時記」(ヤマケイ文庫)を読んでいた時で、そこにここの温泉旅館が紹介されていたのです

「全く突然、前が開けて、菜の花が見えた。ほんの10坪ばかりの菜畑のとなりにかやぶき屋根が見えた。そこがぬる湯であった。山峡に置かれた旅館で、視界は山にさえぎられている。」

新田次郎は高湯でバスを降り、そこから山道をたどり、ぬる湯に着いたときの様子をこのように語っています。

いまでは車で宿まで行けますが、山道のどん詰まりがこの旅館二階堂で、庭にはシャクナゲの木が植えられ、奥には茅葺の棟が今もあります。

「ぬる湯というのはそのものずばりのぬる湯であり、あつ湯の好きな私には苦手であった。」

近くにあるぴりぴりするようなあつい湯の高湯温泉と比較して、どうにも耐えられなかったのか、新田次郎は宿の主人である二階堂氏に「身体があたたまる筈がない」と不満をこぼしています。

「一時間もして、寝床に入ると、身体がぽかぽかして来た。(中略)
ご主人の説のとおり、入浴中はちょっとぬるく感じるが、後で薬物効果が現れたのに違いない。」

主人の説明を受け、ぬる湯の効果に納得したようです。

この新田次郎の記述は今から60年近く前のもので、私が訪れた時出迎えてくれた女将さんは、この時の二階堂氏の孫位にあたるのかもしれません。

8時から日帰り入浴可能と思って訪れると、「ほんとは10時からだけど、どうぞ」と嫌な顔ひとつせず向かい入れていただきました。

お風呂は渡り廊下を通った別棟にあります。

浴室を開けると、湯船に入って座っている人が顔を湯に付け、手を前に延ばして身動きひとつしていません。

死んでいるのかと思ってびっくりしましたが、私が入って行くと急に起き上がり、ただの元気なお年寄りでした。ぬる湯だからできる技なのか、眼病に効くので目を湯につけていたのかなんだかわかりませんが、安心しました。

湯船にはパイプから勢いよく湯がそそがれ、湯船から湯があふれ流れ出ています。

私もぬるい温泉はあまり得意ではありませんが、ここの湯は夏ということもあり気持ちよく浸かることができました。

メインの湯船の横には沸かし湯が用意されていますが、それに入るまでもありませんでした。

新田次郎は宿に泊まった翌日、二階堂氏の案内で一切経山を訪れています。

二階堂氏は農学士で山の植物や動物に詳しかったようです。

帰り際に新館の中の一室に、山の本がぎっしりと詰まった部屋があり、その時の二階堂氏の子孫も山に精通している様子が窺えました。

新田氏は最後にこう結んでいます。

「ぬる湯というところは自然を背景として、生まれ出た一つの桃源郷ともいえる。いわゆる温泉場のようの、下卑たところがない。宿は一軒きり、都会人に踏み荒らされない、ほんとうの意味の山の温泉である。」と。


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posted by Cruiser at 08:22| 長野 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本百名山 出で湯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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