
登山口の近くには必ずといっていいほど温泉があります。
中には取って付けたような温泉もありますが、由緒正しき温泉も数多くあります。
百名山を登りながらその山麓の温泉に立ち寄っているうちに70以上もの温泉に入ることができました。
一番良かった温泉は?と尋ねられると、ちょっと考えてしまいますが、一番良かった山は?と尋ねられるより、その優劣は明らかかもしれません。
塩素臭い日帰り温泉などにあたるとがっかりするものです。

これまでで百名山周辺の良かった温泉を挙げてみます。
北海道の温泉はどこも良質な温泉が多いと感じましたが、その中でも特に良かったのは、雌阿寒温泉の野中温泉別館です。ここは民営の国民宿舎で、硫黄臭漂う渋い温泉です。70の温泉体験の中で上位にランクされる温泉で、今でもその独特の香とジンジンすう湯の感覚は忘れられません。
北海道では旭岳温泉の湯元「湧駒荘」が思い出に残っています。ここは日本秘湯を守る会会員宿で、5つもの異なる源泉をもつ温泉で、黒光りしている木造の湯船が印象的でした。
東北地方にも沢山の温泉がありますが、何といっても八甲田山の登山口にある酸ヶ湯温泉です。酸ヶ湯温泉旅館の千人風呂はあまりにも有名で、混雑しているのがちょっと残念なところです。
歴史ある山の温泉というのはだいたい湯治場であることが多いものですが、この酸ヶ湯温泉も湯治場として古くから賑わっていた温泉です。この「酸ヶ湯」を「すかゆ」と読めるようになったのも百名山登山のお陰です。
八幡平にほど近い、藤七温泉も秘湯の名に相応しい、ワイルドな山の温泉として印象に残っています。
その他、岩木山山麓の野天風呂のある嶽温泉、吾妻山の白布温泉、安達太良山の奥岳温泉、磐梯山の押立温泉なども印象に残っています。
南福島の百名山街道とも呼ばれるR352沿いにある尾瀬檜枝岐温泉も田舎の温泉街といった感じで風情があり、幾度となく利用させていただきました。
山の温泉といえば、那須岳の三斗小屋温泉を挙げないわけにはいきません。大黒屋と煙草屋の2軒の山小屋で、ここは那須岳の山中にあり、2-3時間歩かなければいけないところです。
関東近辺では、群馬県に多くの有名な温泉があります。日本三名泉として名高い草津温泉をはじめ、万座温泉、水上温泉、老神温泉などを有します。
その中でも 苗場山の小赤沢温泉(長野県)や赤城山の赤城温泉、浅間山の天狗温泉などの茶褐色の温泉が印象的です。タオルが茶色に染まるほどの泥水のようなお湯は、秘湯感を彷彿させます。
群馬の中でイチオシは武尊山山麓の武尊温泉の「萱の家」です。ここも日本秘湯を守る会会員宿ですが、天井が高く広々とした木造の浴室に、コンコンと涌き出るお湯をひとりじめし、至福の時を過ごした思い出深い温泉です。また行きたい宿のひとつです。
新潟の妙高山登山口には、燕温泉という長閑な山の温泉街があります。妙高高原温泉郷で最も標高が高く、歴史の古い温泉です。
北アルプスの温泉では、奥飛騨温泉郷の最奥、登山基地としても有名な新穂高温泉があります。一度は行ってみたいのは、水明館 佳留萱山荘の全国屈指の広さを誇る大露天風呂です。まるで池で泳いでいるような感覚です。
焼岳の登山口近くにある中の湯温泉もオススメです。
立山・剱岳へのアクセスルート室堂には、日本最高所にある温泉として有名なみくりが池温泉があります。今だ入浴したことがありませんが・・・。
南アルプスでは、塩見岳の鹿塩温泉や大井川源流の地、寸又峡温泉などもよかったと思います。
白山周辺にも数々の温泉がありますが、一番オススメなのは、中宮温泉です。4軒しかない小さな山の温泉街で、2軒はしごをしましたが、どちらも趣きのあるお風呂でした。
日帰り温泉というのは、どこも似たようなものですが、一味違うのは大台ケ原の山麓にある奈良県屈指の秘湯、小処温泉の日帰り温泉施設で、私の中では今もって日帰り温泉NO.1に輝いています。
九州はこれまた温泉のメッカで、湯布院、黒川、指宿など有名な温泉地が数多くあります。山の温泉としては、九重山麓にある九州最高地の山岳温泉、法華院温泉や筋湯温泉、阿蘇山山麓にある地獄温泉、霧島山周辺の霧島温泉郷などがあります。
中でも霧島温泉郷の新湯温泉には一軒宿の新燃荘があり、湯治場らしい山の温泉の雰囲気を漂わせています。

この他にもまだまだいい温泉や宿はたくさんあると思います。
行きたかったけど時間の都合で行けなかった温泉もあります。
百名山は達成しましたが、百名山の温泉はまだ達成できていない気がします。
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